今の日本では、製造業の現場で技術者が足りないと悲鳴が上がっています。現場では人一人雇うのにも苦労している状態ですが、専門級資格を持つ溶接職人は企業から求められているにも関わらず特に人手が足りていない状態です。
しかし一方で、溶接の需要は年々増えています。溶接工は専門級までの資格を取れば将来はほぼ約束されていると言っていいでしょう。
この記事は、
②今の給料に不満を持っている人
③何か資格を取ろうと考えている人
④溶接とは何なのか分からない人
⑤溶接の資格について知りたい人
このように悩まれている方は、この記事を参考にしていただければ幸いです。
老若男女を対象としており、年齢に制限はありません。
この記事で分かること
・溶接の資格の基本級と専門級の違い
・溶接工のメリット・デメリット
・初心者向け溶接練習方法
・裏波溶接についてと需要
・溶接試験の受講費用
について解説しております。
溶接作業について!
溶接とは、2個以上の部材の接合部に熱または圧力もしくはその両者を加え、必要があれば適当な溶加材を加えて、接合部が連続性を持つ一体化された1つの部材とする接合方法のことを言います!
溶接は誰でもできるのか?
結論からいうと
できます!
溶接と聞くと世間では難しいとのイメージを強く持たれていますが、それは実際に作業をしたことがないから難しいと思い込んでるだけなのです。
一昔前は男性に適した職業のイメージが強かったと思いますが、今では女性の資格者も増えてきています。それぐらい環境も良くなっていると言ううことが言えます。外国研修生についても溶接を全く経験したことがない人も多いですが、毎日練習をすることで1週間で溶接ができるようになっています。
溶接作業の需要はどんなものがあるのか
1.自動車部品の製造
自動車に使われる部品などの製造に溶接が必要となります。もちろんロボットでの溶接もありますが、ロボットではできないような細かな作業である溶接もあるため、技能者が必ず必要となります。
2.造船の組み立て作業
造船の溶接ですから、船を作っていきます!造船は昔から、かなりの技能レベルが要される職業であることから、一番難易度が高い溶接のイメージが強くあります。
溶接の腕がなければ沈没させるということにもなりますから、難易度で言ったら最強なのでは!
3.重電機などの一般機械を製造する工場での作業
様々な溶接資格が必要となる職業です。
アーク溶接や半自動溶接、TIG溶接など、溶接する材料にもいろんな種類があるため、同じことをひたすら繰り返して溶接することでもないため他の職業よりも分野が広い職業となります!
4.建設現場の配管取り付け作業
消化配管など、現場で組み付け作業を行いながら、溶接で繋げていく作業になります。時には現物合わせで配管を溶接し繋げていくこともあり、溶接欠陥を必ず避けて作業を行わないと、着工に間に合わず大損する可能性もある職業です!
5.鉄道工事の溶接作業
その名の通り、鉄道同士を繋ぎ合わせていく仕事になります!
その他にも沢山業種はありますが、基本的には全てにおいて、人の命を預かっている職業と言えることは間違いありません!!
特にこれからも需要が多くなるであろう職業をピックアップしています。
溶接工について
高温の熱やガスを利用したり火花が飛んだりと危険が伴う作業を行う専門のスペシャリストです。
そのような危険な仕事を行うため、安全に作業する専門的なスキルが求められ、専門の資格が必要とされます。
溶接工に必要とされる基本的な資格の一つが「溶接技能者」なのです。
溶接工の将来性は?
結論からいうと、溶接工の仕事が将来完全になくなることはないでしょう。
これからの時代、どの製造業においても人材不足と言われている世の中、機械化される作業は多くなり、溶接ロボットができる作業の幅も広がっていくと考えられていますが、図面の考案や特殊な材料の加工、美しい仕上げなど、経験を積み重ねてきた職人にしかできない作業もあるため人の手は必要なのです。
このことから、溶接工の仕事が完全にロボットに奪われる可能性はかなり低いと言えます。機械に負けない確かな技術力を身につけておけば、溶接工としての将来はまず問題ないでしょう。
技術力を身につけるためにまずは基本級と専門級合格を目指しましょう!
学科・実技試験についてはこちらの記事を参考に♪( ´▽`)
溶接工は、学歴や年齢よりも技術や知識が重要視される!!!
溶接作業は、学歴は関係なく、全て技術や知識が優先されます。
お客様は、仕様書(サービス・製品等が、満たすべき条件や内容を明確化し、まとめた書類)
を元に仕事の依頼を提出します。
その仕様書の内容に製品を作るための条件が記載されており、その条件を満たすことができる技量を持っているかどうかが重要なポイントとなります。
溶接工のメリット4選
溶接工のメリットの最大は、世の中に、鉄・ステンレス・アルミ・等があることであり、世の中からこれらが無くならない以上、この先の将来も需要がなくなることは絶対にありえません。
① 需要が多く仕事量が多い
配管業や組立て系の仕事が多い、何よりも接合するためには溶接作業が必須であるため、世の中から鉄・ステンレス・アルミが無くならない以上溶接の需要がなくなることはありません。
② 働く企業によっては給料が高い
見習いレベルの平均年収は300万〜400万
ベテランレベルの平均年収は500万円〜800万円程稼ぐことができる。
熟練レベルとなると1000万を超える。
とも言われており、溶接工の仕事は魅力的だと言えますよね。
③ プライベートでも活かすことができる
DIY作業
溶接作業が活かせることは、かなりのコストを削減することができます。
例えば
・車やバイクの修理
・ガレージの作成
・キャンプ道具を作成するとき
・キッチンカーの作成
などなど、これ以上のことにも活かすことができるため、職人代はかかってきませんよね。そのため安くで抑えることができることもDIYの最大のメリットです!
④ 個人で事業を起こすことができる
企業は人手不足の中、社外にお願いするケースも多いため独立して下請け会社を設立できる。
実際に、溶接工の方で、独立して仕事をされている方が、私の周りにもいらっしゃいます。溶接の仕事をもらえるように営業するのも難しいと思いますが、腕があれば自信持って仕事を探しにいくことができますよね!
溶接工のデメリット3選
溶接工のデメリットについてになりますが、きつい・暑い・寒い等が昔のデメリットとして上位に挙げられていましたが、働き方改革もあり、安全、体の負担について考え直されるようになり今ではデメリットを感じたことがないような環境にあります。
① ちょっとした力仕事が求められる
溶接工の仕事現場は、工場や建設現場であるため溶接に使う金属類の持ち運び等があるため必然的に力仕事が求められます。
しかし安全第一で行うため、持ち運び等については台車やクレーン等を用いて運搬することが多くなっているため、力仕事といっても心配する必要は全くありません。
② 常に高温と向き合うが 保護具で対策できる
溶接作業は鉄同士を高温で溶かし繋げる手法であるため夏場は特に暑く熱中症などの危険性もありますが、
現在では溶接専用の冷風作業服や暖房ジャケットも販売されるようになり、寒さや暑さに対しての対策はしっかり取ることができるようになっている。
③ ケガやリスクの危険性はあるが、最新の保護具で対策できる
溶接工の仕事には怪我やリスクの可能性がある。
溶接では高温の金属を使用することや、溶接時に発生する火花により常に火傷のリスクもありますが溶接保護具を身につけておくことで火傷は簡単に回避することができます。
また、溶接時に発生する強い光を直視してしまうと視力の低下の原因や、目の角膜を傷つけてしまうなど、目に害を及ぼす可能性もありますが、溶接面でも遮光自動面や自動遮光フィルタが販売されているため目に害を及ぼすリスクはほとんどありません。
このように時代は変化しているため、年々、安全に関しても対策がしっかり取れるような環境になっています。
溶接に資格は必要?
溶接工の仕事をするにあたって、必ず資格が必要な訳ではありません。しかし、溶接工の仕事を長く続けるのであれば資格を取得することはおすすめです。溶接の資格を取得すると仕事の幅が広がり、難易度の高い作業も行えるようになります。
難易度の高い作業が行えるようになることで、スキルアップに繋がり高収入が見込めるようになるでしょう。また、資格を保有していることが、溶接工で一番求められる技術力の証明になるため、就職や転職に有利になるというメリットがあります。溶接工で高収入を目指すのであれば、資格の取得は必須となるでしょう。
溶接資格ー基本級
資格の記号は(F)となりflatの略であり、下向き溶接のことになります。また、安全はもちろんのこと、特に品質に大きく関わっている案件については必要最低限の資格となります。いくら溶接技量が高い熟練者であっても、資格を持っていなければその技量は世に発信することはできません。
溶接資格ー専門級
・(V) Vertical 縦向き溶接
・(H) Horizontal 横向き溶接
・(O) Over 上向き溶接
基本級と違い、一番簡単な下向き溶接はありません。下向き以外の溶接姿勢が専門級と言われる資格になります。この三つの溶接姿勢から選び、自分に最も適した専門級の資格を取らなければなりません。
・(P)pipe 全姿勢溶接(縦・横・上の組み合わせ)になります。
試験は基本級と専門級 (V) (H) (O) (P) のいずれかを選択し、実技試験を受けることができます。
しかし基本級か専門級どちらかが落ちた場合には再度試験を受ける必要があります。
溶接基本級・専門級の取得についてはこちらの記事を参考に!
資格一覧まとめ
溶接工の資格と一口に言っても、さまざまな種類があります。どんな資格があるのかかわからない方に向けて、溶接工になるなら取るべきおすすめの資格をご紹介します。
資格は7種あります。
①アーク溶接作業者
②ガス溶接技術者
③アルミニウム溶接技術者
④溶接管理技術者
⑤ボイラー溶接士
⑥ガス溶接作業主任者
⑦溶接作業指導者
この7つについて下記で解説しています。参考までに
アーク溶接は多くの金属溶接に用いられている、主流の溶接方法で、溶接工の基本中の基本となる資格です。
アーク溶接では火災や爆発、感電などの危険性があるため、作業を行うために資格が必要となります。
▼資格概要
受験資格:満18歳以上であること取得・講習受講費用:1万円~2万3,000円程度
取得方法:学科11時間、実技10時間の合計21時間の講習を受けるだけで取得が可能
ガス溶接技術者も、溶接工の基本となる資格です。
ガス溶接とはガスバーナーの炎を使って金属を溶かし、溶接する方法で、このガス溶接を行うためにはガス溶接技術者の資格が必要となります。
▼資格概要
受験資格:満18歳以上であること
取得費用:1万3,000円~2万2,000円程度
取得方法:学科8時間、実技5時間の合計13時間講習を受け、学科の修了試験に合格すると取得が可能。すべての得点総計が60点以上、3科目それぞれ40点以上で合格。
アルミニウムは、酸化しやすい・溶けやすいといった特徴を持っており、溶接が難しいため確かな知識と技術が求められます。そのため、アルミニウム溶接技術者の資格を保有しておくことで、技術力を証明できるでしょう。
▼資格概要
基本級の受験資格:1か月以上アルミニウムの溶接技能を習得した満15歳以上の人
専門級の受験資格:3か月以上アルミニウムの溶接技能を習得した満15歳以上の人。また、基本級の資格を持っていること
取得費用:学科1130円、実技8040円〜
取得方法:学科試験、実技試験に分けられています。実技試験は、ティグ溶接とミグ溶接の2種類から選択して受験することが可能です。
溶接管理技術者は、施工の計画から、作業の管理まで行える溶接工と認定する資格です。
溶接管理技術者に求められるのは、溶接に関する知識や技術だけでなく、施工と管理についての専門的な知識が必要となります。
▼試験概要(2級)
受験資格:学歴や職務経験によって異なる
取得費用:筆記試験13,200円、口述試験22,000円
取得方法:筆記試験:総得点が60点以上、口述試験:十分な知識および職務能力を有すると認められた場合
▼試験概要(1級)
受験資格:学歴や職務経験によって異なる
取得費用:筆記試験13,200円、口述試験22,000円
取得方法:筆記試験:総得点が70%以上、口述試験:十分な知識および職務能力を有すると認められた場合
ボイラー溶接士は、ボイラーの製造や修理などの溶接を行う際に必要な資格です。
▼資格概要(普通ボイラー溶接士)
受験資格:1年以上溶接作業の経験がある者
取得費用:学科6,800円、実技18,900円
取得方法:学科の総得点が60%以上、実技試験すべての結果判定に合格した場合
▼資格概要
受験資格:普通ボイラー溶接士免許を取得しており、1年以上ボイラーまたは第一種圧力容器の溶接作業の経験がある者
取得費用:学科6,800円、実技21,800円
取得方法:学科の総得点が60%以上、実技試験すべての結果判定に合格した場合
ガス溶接作業主任者は、ガス全般に関する知識、およびその法令に関する知識があることを証明する資格です。
また、現場の指揮や作業方法を決定するための資格でもあります。
▼資格概要
受験資格:学歴や年齢・実務経験と言った受験資格はなく誰でも受験可能
取得費用:6,800円
取得方法:学科科目ごとの得点が40%以上で、かつ総得点が60%以上で合格
溶接作業指導者は、溶接の作業員に指導などを行うための資格です。
工場や建設現場のリーダークラスに求められるスキルとなります。
▼資格概要
受験資格:25歳以上、JISまたは公的機関の資格保有者かつ一定の実務経験がある方
取得費用:5万1,700円
取得方法:3日間の講習を受け、学科の修了試験に合格すると取得が可能です。
スキルアップしやすい溶接の種類
溶接資格の種類にも様々な資格の種類がありますが、その中でもスキルアップが早い、半自動溶接をお勧めします。
アーク溶接
半自動溶接
TIG溶接
組み合わせ溶接
ガス溶接
半自動溶接とは?
半自動溶接は、「トーチ」と呼ばれる加熱器具で溶融金属という金属を溶かし、二つの資材を接合します。この方法は溶接の基本的な技術を応用していますが、半自動溶接では「トーチで加熱して溶かすワイヤーが『自動で供給される』という点で大きな特徴があります。
初めて溶接をされる方には特にお勧めな溶接と言えます。
溶接工の仕事は将来的にもなくなる可能性はない仕事といえます。また、自分の技術力次第で高収入を狙えたり、転職にも有利になるため、おすすめの職種となります。
試験会場は各県にある、日本溶接協会で月に1回のペースで試験を行なっています。2ヶ月前から試験の予約ができますので挑戦をしてみましょう。
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